悩んでいる方向けQ&A
知っておきたいハラスメント対策
パワハラについて
- そもそもパワハラってなんですか?
-
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。「職場」とは
事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。
勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
「職場」の例:出張先、業務で使用する車中、取引先との打ち合わせの場所(接待の席も含む)等「労働者」とは
正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。①「優越的な関係を背景とした」言動とは
業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者(以下「行為者」という。)に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
● 例
・職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは
社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
● 例
・業務上明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況(※)、行為者の関係性等)を総合的に考慮することが適当です。
その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然、職場におけるパワーハラスメントに当たり得ます。
※ 「属性」・・・・・(例)経験年数や年齢、障害がある、外国人である 等
「心身の状況」・・(例)精神的又は身体的な状況や疾患の有無 等③「就業環境が害される」とは
当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。
なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。 - どんな行為が、パワハラですか?
-
以下のような行為はパワーハラスメントとして挙げられます。ただし、これらは職場のパワーハラスメントすべてを網羅するものではなく、これら以外は問題ないということではないことに留意が必要です。
パワーハラスメントの行為類型
セクハラについて
- セクハラのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- ●性に関する言動に対する受け止め方には個人差があり、セクシュアルハラスメントに当たるか否かについては、ケースバイケースで判断されることとなりますが、特に次のような点に注意しましょう。
①親しさを表すつもりの言動であっても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があります。
②不快に感じるかどうかは個人差があります。
③「この程度のことは相手も許容するだろう」という勝手な憶測をしてはいけません。
④「相手との良好な人間関係ができている」という勝手な思い込みをしてはいけません。
●相手が拒否し、または嫌がっていることが分かった場合は、同じ言動を繰り返さないようにしましょう。
●セクシュアルハラスメントであるかどうかについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないということに注意しましょう(セクシュアルハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否することができないこともあります)。
●勤務時間外の宴席であっても、歓迎会や取引先との懇親会など、実質上職務の延長と考えられる場合は、「職場」とみなされます。
●社員間だけでなく、取引先や顧客が行為者や被害者になる場合があることにも留意しましょう。 - 相手の意に反していれば、すべてセクシュアルハラスメントになるのですか。
- 職場におけるセクシュアルハラスメントは、「労働者の意に反する性的な言動」で、性的な関係の強要といったものから、性的な冗談やからかい、
食事やデートへの執拗な誘いというものまで、その態様はさまざまです。
また、同じ言動に対しての受け止め方にも個人差がありますが、不快であるか否かは受け手の主観に委ねられています。したがって、受け手が「不快に感じ」ていれば、セクシュアルハラスメントになり得ます。ただし、セクシュアルハラスメントに当たるかどうかの判断に当たっては、個人の受け止め方の違いもあることから、受け手の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要となります。
一般的には、男女の認識の違いにより生じていることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準としてケースバイケースで判断されることとなります。
マタハラについて
- 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- <妊娠中または育児をしながら働いている人は…>
周囲との円滑なコミュニケーションを心がけ、自身の体調等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持ちましょう。
相談について
- ハラスメントで困ったら、どうすればいいですか?
- 我慢していてもハラスメントの問題は解決しません。時間が経過すると、逆にエスカレートする可能性もあります。大切なのは決して一人で悩まないことです。信頼できる同僚や上司にまずは相談しましょう。同僚や上司に相談しても改善されない場合や、相談できる人が身近にいない場合は、社内相談窓口や人事部に相談しましょう。企業は、相談対応の際、プライバシーに配慮することや、相談者等が不利益な扱いを受けないようにすることが求められています。
- 社内相談窓口や人事部に相談した場合の一般的な流れを教えてください。
- 窓口に相談したら、担当者が事実関係の聴き取りをします。そして本人の同意を得た上で、行為者や第三者に話を聴きます。ハラスメントに相当する事実があると判断される場合には、行為者に懲戒処分が下されたり、配置転換や行為者による謝罪などが行われたりすることがあります。ハラスメントに相当する事実がないと判断される場合であっても、本人から訴えがあった問題の解消に向けた話し合いが行われます。本人がメンタル不調をきたしている場合には、産業医などによるメンタルケアも勧められます。
- 社内に相談窓口がないのですが?
- パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントの相談窓口の整備はすべての企業に義務付けられているため、まずは人事・労務担当者に相談先を聞くことをおすすめします。人事・労務担当者に聞きづらい、相談窓口に相談しにくい、相談窓口がわからないような場合は、社外の相談窓口に相談しましょう。相談機関としては、専門の相談員が面談あるいは電話で相談にのってくれる労働局の総合労働相談コーナーをはじめ、都道府県労働委員会や法テラス、みんなの人権110番、かいけつサポートなどの機関があります。
- うつなどの症状がでて、体調がわるくなったら?
- ハラスメントによって体調や精神の健康に不調がでた場合は、できるだけ速やかに専門医の診断を受けましょう。企業が契約をしている医療機関があれば、紹介してもらってもよいでしょう。また企業が産業医を選任している場合は、その産業医に相談することをお勧めします。
また、ポータルサイト「こころの耳」ではメンタルヘルスの不調についての相談先を紹介しています。 - ハラスメント行為に気づいたら?
- 見て見ぬふりをせず、上司や人事担当、職場の相談窓口に相談しましょう。
- 会社に相談すると不利益な対応を受けそうで不安なのですが...
- 相談したこと等を理由に不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。また、事業主は、相談したこと等を理由にして不利益な取扱いをしてはならない旨を定め、周知・啓発することが法律で義務付けられています。
管理職の方向けQ&A
知っておきたいハラスメント対策
これって、パワハラ?
- そもそもパワハラってなんですか?
-
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。「職場」とは
事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。
勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
「職場」の例:出張先、業務で使用する車中、取引先との打ち合わせの場所(接待の席も含む)等「労働者」とは
正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。①「優越的な関係を背景とした」言動とは
業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者(以下「行為者」という。)に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
● 例
・職務上の地位が上位の者による言動
・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは
社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
● 例
・業務上明らかに必要性のない言動
・業務の目的を大きく逸脱した言動
・業務を遂行するための手段として不適当な言動
・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況(※)、行為者の関係性等)を総合的に考慮することが適当です。
その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然、職場におけるパワーハラスメントに当たり得ます。
※ 「属性」・・・・・(例)経験年数や年齢、障害がある、外国人である 等
「心身の状況」・・(例)精神的又は身体的な状況や疾患の有無 等③「就業環境が害される」とは
当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。
なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。 - どんな行為が、パワハラですか?
-
以下のような行為はパワーハラスメントとして挙げられます。ただし、これらは職場のパワーハラスメントすべてを網羅するものではなく、これら以外は問題ないということではないことに留意が必要です。
パワーハラスメントの行為類型
- 自分としては指導をしたのに、「パワハラ」と指摘されてしまいました。
- 業務上必要かつ適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為はパワハラとなります。日頃の業務のあり方や指導の際の言い方を見直しましょう。
今のは、セクハラ?
- あなたがセクシュアルハラスメントの行為者になってしまったら…
- あなた自身だけでなく、組織(会社)にも、多大な影響が生じるおそれがあります。
行為者:
強制わいせつ、傷害・暴行、損害賠償、懲戒処分、信用の低下、家族への影響会社:
使用者責任、債務不履行責任、適切な措置を怠ったことに対しての損害賠償、社会的信用の失墜、従業員のモチベーションの低下 - セクハラのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- ●性に関する言動に対する受け止め方には個人差があり、セクシュアルハラスメントに当たるか否かについては、ケースバイケースで判断されることとなりますが、特に次のような点に注意しましょう。
①親しさを表すつもりの言動であっても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があります。
②不快に感じるかどうかは個人差があります。
③「この程度のことは相手も許容するだろう」という勝手な憶測をしてはいけません。
④「相手との良好な人間関係ができている」という勝手な思い込みをしてはいけません。
●相手が拒否し、または嫌がっていることが分かった場合は、同じ言動を繰り返さないようにしましょう。
●セクシュアルハラスメントであるかどうかについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないということに注意しましょう(セクシュアルハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否することができないこともあります)。
●勤務時間外の宴席であっても、歓迎会や取引先との懇親会など、実質上職務の延長と考えられる場合は、「職場」とみなされます。
●社員間だけでなく、取引先や顧客が行為者や被害者になる場合があることにも留意しましょう。 - 相手の意に反していれば、すべてセクシュアルハラスメントになるのですか。
- 職場におけるセクシュアルハラスメントは、「労働者の意に反する性的な言動」で、性的な関係の強要といったものから、性的な冗談やからかい、
食事やデートへの執拗な誘いというものまで、その態様はさまざまです。
また、同じ言動に対しての受け止め方にも個人差がありますが、不快であるか否かは受け手の主観に委ねられています。したがって、受け手が「不快に感じ」ていれば、セクシュアルハラスメントになり得ます。ただし、セクシュアルハラスメントに当たるかどうかの判断に当たっては、個人の受け止め方の違いもあることから、受け手の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要となります。
一般的には、男女の認識の違いにより生じていることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準としてケースバイケースで判断されることとなります。
今のは、マタハラ?
- 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- <上司、同僚は…>
●妊娠・出産等についての知識や制度について理解しましょう。
●「子どもが小さいうちは家にいた方がいいのではないか」など、自分の価値観を押し付けないようにしましょう。
●特定の人に向けた言動でなくても、妊娠・出産や育児休業・介護休業制度の利用について否定的な発言をすることは、ハラスメントの発生の原因や背景になり得ますので、注意しましょう。
●自分の行為がハラスメントになっていないか注意しましょう。<特に上司の立場にある人は、次の点にも留意しましょう!>
●妊娠中・育児中の制度を利用しながら働いている従業員に対しては、業務の状況とともに、周囲とのコミュニケーションに関しても目配りするようにしましょう。
●周囲のメンバーに隠れたハラスメント行為がないかについても注意しましょう。
その他
- ハラスメントによって、罰せられることがありますか?
- パワハラの行為の内容によっては、暴行罪・脅迫罪・侮辱罪などの刑事上の責任や、民事上の損害賠償責任を問われる場合があります。また、セクハラの行為の内容によっては、強制わいせつなどの罪に問われる場合もあります。いずれも職場へ与える影響は深刻です。ハラスメントの行為者は、社内での自分の信用を低下させるだけでなく、懲戒処分や訴訟のリスクを抱えることも考えられます。また、会社自体も社会的信用の低下や取引先の喪失、損害賠償責任を負う可能性があります。
人事担当の方向けQ&A
知っておきたいパワハラ対策
まずはじめに
- パワハラ対策の必要性は感じていますが、どこから手をつけてよいかわかりません。
- 取組内容のカテゴリーを紹介します。何から始めるかは、緊急性のある取組み、優先順位が高い取組みや着手しやすい取組みなどから、企業によってそれぞれの職場に即した形で取り組み、継続して充実させていくことが重要となります。
1 トップのメッセージ
2 社内ルールを決める
3 社内アンケートで実態を把握
4 管理職向けの研修・一般社員向けの研修
5 社内での周知・啓蒙
6 相談窓口の設置、相談対応
7 再発防止
※職場のハラスメント予防・解決に役立つ参考資料はこちら - 外国人労働者に対するいじめ・嫌がらせは、法律で事業主の対応が求められるハラスメントに該当するのでしょうか。
- 外国人労働者も労働関係法令の適用の対象であり、事業主は適切に対応しなければなりません。外国人であること、特定の国・地域の出身や特定の国・地域にルーツがあること等についての侮蔑的な言動はパワーハラスメントに当たります。事業主は法律に基づいたハラスメント防止対策を講じる必要があります。
- LGBTの人に対するいじめ・嫌がらせは、法律で事業主の対応が求められるハラスメントに該当するのでしょうか。
- 個人の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動や、性的指向・性自認に関して本人の了解を得ずに暴露すること(いわゆる「アウティング」)は、パワーハラスメントに相当したり、事案によってはセクシュアルハラスメントに相当する場合があります。事業主は法律に基づいたハラスメント防止対策を講じる必要があります。
- 業種のせいか昔からハラスメントが発生しやすい職場の雰囲気です。トップや経営陣もハラスメント対策に全く理解がありません。
- 社内アンケートの結果分析などを提示し、自社の状況を理解してもらいます。また、ハラスメント対策は法律で義務化されていること、ハラスメント発生のリスクや使用者責任等について認識を強めるため、トップや経営陣に向けた導入研修を行うことも有効です。
- ハラスメント防止を強調すると指導や教育、コミュニケーションが難しくなると管理職からの反発があります。
- 管理職は部下を指導・育成する責務があり、時には厳しい指導や叱ることが必要な場合があります。自身が権力・パワーを持っていることを自覚し、パワーハラスメントがもたらす自身や職場全体への影響、デメリットを理解して、日頃のコミュニケーションの取り方やパワーハラスメントととられない指導の方法を身に着けることが必要です。管理職研修などで指導法やアサーション、アンガ-マネジメントなどのスキルを身に着けていきましょう。
※「言い方で変わる会話術」はこちらへ
※アサーション :相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝えるスキル
※アンガ-マネジメント :自分のアンガー(イライラや怒りの感情)を理解して癒したりポジティブな方向へ展開する等上手にコントロールするための手法 - アンケートを取るときの注意点は?
- 以下の点に注意しましょう。
①アンケート調査の目的を明確にし、安心して率直な回答を得られるように工夫する。
②可能な限り多くの従業員、派遣社員やパートタイム従業員なども対象として実施する。
③ハラスメントについての知識が乏しい場合が想定されるので、選択式の設問を多くし回答しやすい内容とする。
④継続して実施して、周知・啓発や教育・研修の効果を把握し、今後の取組み課題を分析する。
⑤無記名とする、回収方法などで個人が特定できないようにする。
※アンケート例はこちらへ - セクハラのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- ●性に関する言動に対する受け止め方には個人差があり、セクシュアルハラスメントに当たるか否かについては、ケースバイケースで判断されることとなりますが、特に次のような点に注意しましょう。
①親しさを表すつもりの言動であっても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があります。
②不快に感じるかどうかは個人差があります。
③「この程度のことは相手も許容するだろう」という勝手な憶測をしてはいけません。
④「相手との良好な人間関係ができている」という勝手な思い込みをしてはいけません。
●相手が拒否し、または嫌がっていることが分かった場合は、同じ言動を繰り返さないようにしましょう。
●セクシュアルハラスメントであるかどうかについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないということに注意しましょう(セクシュアルハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否することができないこともあります)。
●勤務時間外の宴席であっても、歓迎会や取引先との懇親会など、実質上職務の延長と考えられる場合は、「職場」とみなされます。
●社員間だけでなく、取引先や顧客が行為者や被害者になる場合があることにも留意しましょう。 - 相手の意に反していれば、すべてセクシュアルハラスメントになるのですか。
- 職場におけるセクシュアルハラスメントは、「労働者の意に反する性的な言動」で、性的な関係の強要といったものから、性的な冗談やからかい、
食事やデートへの執拗な誘いというものまで、その態様はさまざまです。
また、同じ言動に対しての受け止め方にも個人差がありますが、不快であるか否かは受け手の主観に委ねられています。したがって、受け手が「不快に感じ」ていれば、セクシュアルハラスメントになり得ます。ただし、セクシュアルハラスメントに当たるかどうかの判断に当たっては、個人の受け止め方の違いもあることから、受け手の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要となります。
一般的には、男女の認識の違いにより生じていることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準としてケースバイケースで判断されることとなります。
- 妊娠・出産・育児休業等ハラスメントのない職場とするために1人1人が心がけたいこと
- <上司、同僚は…>
●妊娠・出産等についての知識や制度について理解しましょう。
●「子どもが小さいうちは家にいた方がいいのではないか」など、自分の価値観を押し付けないようにしましょう。
●特定の人に向けた言動でなくても、妊娠・出産や育児休業・介護休業制度の利用について否定的な発言をすることは、ハラスメントの発生の原因や背景になり得ますので、注意しましょう。
自分の行為がハラスメントになっていないか注意しましょう。<特に上司の立場にある人は、次の点にも留意しましょう!>
●妊娠中・育児中の制度を利用しながら働いている従業員に対しては、業務の状況とともに、周囲とのコミュニケーションに関しても目配りするようにしましょう。
●周囲のメンバーに隠れたハラスメント行為がないかについても注意しましょう。
パワハラ問題が起こってしまったら!相談や解決の場を設置しておきましょう
- 管理職が部下からハラスメントの相談を受けた時、どのように対応すればよいでしょうか 。
- 管理職が部下から相談を受けたり、部下のメンタルヘルス不調に気づいたりする機会が多いので、その対応が解決への重要なポイントとなります。
①相談者や関係者への印象や先入観を捨て、公正中立な姿勢で受け入れ、プライバシーを尊重し秘密を厳守する。
②相談者がどのような解決を望んでいるかを把握し、尊重する。
③問題をもみ消そうとしたり相談者を責めるような言動は厳禁。
④対応が困難と思われる場合は専門家につなげる。
⑤相談者にメンタルヘルス不調の兆候が見られる場合は、心療内科等の受診を促す、行為者から避難させるなど早急に対処する。※メンタルヘルスの問題については、「こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」もご覧ください。
- 相談窓口を設置するためにどのようなことが必要となりますか。
- 相談窓口の整備は次のような進め方となります。
①相談担当者の選任
人権問題について理解を持ち、むやみに他言をしないなど周囲から信頼されるような人物が望ましい。誰もが相談しやすいように一般従業員や男女それぞれの従業員も選任しておくとよい。
②相談担当者の研修
ハラスメントの基本的事項や相談対応の留意点について専門スキルの研修等を受け資質の向上を図る。
③相談窓口の周知
利用しやすい窓口にするため、イントラネットや社内報での案内やポスターやカードを作成し配布する等繰り返し周知する。
④小規模の事務所などは外部の相談窓口を活用する方法も考えられる。 - 相談対応の流れを教えてください。
- 相談者の訴えたいことを自由に話してもらい、時間をかけて丁寧に聴くことが重要です。まず、相談者へ秘密の保持や相談によって不利益な取り扱いがないこと、本人の意思や希望を尊重することを伝えます。
次の項目に沿って、これも本人の了解を得て記録を取りながら聴いていきます。
①行為者はだれか、相談者との関係
②問題行為がいつ、どこで、どのように行われ、相談者はどのように感じ、対応したか。
③行為者は他の人に対しても同様の行為はあるか。
④誰かに相談したか。
⑤問題行為の現在の状況と相談者の心身の状況
⑥どのような解決を望むのか。
相談の終了に当たっては、担当者は必ず、相談内容や相談者の意向など聞き取ったことについて記録をもとに相談者に確認し、認識のずれがないようにします。相談者の意向を踏まえた解決方法やこれからの手順、当面の対処の仕方などを説明します。
※相談受付票例はこちらへ
再発を防止するために行為者にはきちんと対応しましょう。
- 行為者に事情を聴く場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか。
- ①行為者への面接の実施や方針については、必ず相談者の同意をとる。
②面接の目的を説明し、行為者の同意を得る。
③プライバシー保護を伝える。
④名誉や尊厳を傷つけないよう留意し、はじめから加害者と決めつけるような態度をとらない。
⑤弁明の機会は十分に与える。
⑥担当者は、虚偽や隠ぺいは許さないという毅然とした態度をとる。行為者に対して、相談者の割り出しや当事者同士で話し合う等の行為を禁止する。
※行為者聞き取り票例はこちらへ - 懲戒処分を行う場合の留意点は?
- 第一に、ハラスメントが懲戒処分の対象となること、懲戒の事由、種類や程度を就業規則等に明記し、従業員全員に周知しておく必要があります。ハラスメントの事実が認められた場合には、人事部門等と連携を取り行為者への措置を取りますが、できる限り相談者の意向を尊重した対応に努めます。処分については慎重・公平に行うのはもちろん、当事者への説明も十分に行う必要があります。
- 再発を防止するためには、どのような取組みが必要ですか。
- 発生した事案を個人的な問題ととらえるのではなく、職場全体の問題として職場環境の改善がさらに必要となります。
①「ハラスメントを許さない」という会社の方針を全従業員に再確認させる。
②発生原因を分析し、必要な防止対策を再検討する。
③社内で相談をしにくい雰囲気がないか、相談体制の状況を再検討する。
④労働者に対して、職場におけるハラスメントに関する意識を啓発するための研修・講習等を実施したり、管理職のマネジメント能力の向上を図るための、アンガ-マネジメントやアサーション、パワーハラスメントにならない指導法などの研修を実施する。
※アサーション :相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝えるスキル
※アンガ-マネジメント :自分のアンガー(イライラや怒りの感情)を理解して癒したりポジティブな方向へ展開する等上手にコントロールするための手法