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厚生労働省

「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」【第7回】「全社員の理解で職場の雰囲気が変わる」 ― LPガス(液化石油ガス)の卸売、小売を主な事業とするX 商事

【第7回】
全社員の理解で職場の雰囲気が変わる ― LPガス(液化石油ガス)の卸売、小売を主な事業とするX 商事

取組のポイント 所在地

東京都

  1. 社長から全社員にメッセージを発信
  2. 社員全員に研修を実施
  3. 相談窓口の案内をカードで全員に配布
業種

エネルギー

従業員数

約100人

管理部総務グループリーダー

LPガス(液化石油ガス)の卸売、小売を主な事業とするX 商事。1955年に創業し、従業員は総勢105名(男性95名、女性10名)。 15年ほど前には、ガソリンスタンドも経営していて会社規模も大きく、現場では親方気質の責任者が、セクハラやパワハラの問題を起こすこともあったとのこと。その後会社の規模や体制も変わり、最近はそのような問題も起きていないそうです。それでも1年ほど前からハラスメント防止に取り組み始めています。その活動を管理部総務グループリーダーで相談窓口を担当されている方にお聞きしました。

親会社からの指示で活動開始

活動のきっかけは親会社からの指導です。大手エネルギー会社の子会社ということで、親会社からグループ会社に対して、コンプライアンス違反やハラスメントなどがあってはならないという大変厳しい指示がありました。それまではパワハラに関する社内での訴えや相談は発生していなかったのですが、それらしき行為がないわけでもありませんでした。大きな問題にならない内に手を打とうということで、社長の指示のもと、社外のハラスメントのセミナーや相談窓口を実施している専門機関にも相談し、約1年前からハラスメントの防止活動を始めました。

まずは全社員の理解を深める

ポスターを会議室等の壁に掲示

ポスターを会議室等の壁に掲示

最初に取り組んだのは社員への研修です。これは3段階で行いました。
第一に、管理職を対象に研修を行い、「何がパワハラなのか」や「パワハラの影響」などを理解し、「パワハラのない職場を目指す」ことを共有しました。
次に実行したのは社長からのメッセージ発信です。半年に一度、全社員を集めて社長が経営方針等を発表する機会があるのですが、その機会を利用して、社長が自分で、「コンプライアンス違反やハラスメントは社内にあってはならないもので、会社として防止対策を行うこと」を表明しました。
その後、全社員を対象に社会保険労務士の方にパワハラについての講演をしていただき、「何がパワハラなのか」や「その対策」について理解を深めてもらいました。 また、玄関や会議室に啓発ポスターを掲示し、継続的に注意を促しています。

相談窓口を整備し、カードで周知

以前から社内で何か問題が発生するとその対応を検討する委員会が設置されたのですが、問題に対処するだけで、予防という視点での活動はしていません。
ハラスメントに関しては、問題が発生する前に対処しようということで活動を始め、社員が直接相談できる窓口を、社内と社外に設置しました。
社内相談窓口は、男女1名ずつの相談員を置いています。男女1名ずつ置いたのは、同性のほうが相談しやすいと思ったからです。相談担当者は、社外の相談担当者研修を受講しました。また、単に相談を待つだけでなく、少なくとも毎月1回くらいは現場である営業部や支店に電話をかけたり、仕事の話のついでに何か問題はないかと尋ねるなど、現場の状況を確認するようにしています。
また、社外の専門機関と相談窓口の委託契約をし、第三者に相談したいというニーズにも対応しました。
これらの相談窓口の案内を名刺大のカードにし、全社員に配布しています。

相談窓口の整備について

さらに、実際に問題が起きた場合に当事者から事情聴取をし、対応策を決める「セクハラ・パワハラ対策委員会」も設置しました。この委員会には社長、役員のほか、相談員二人もメンバーとなっています。

職場の雰囲気が変わった

現場の責任者は親方気質の人が多いので、以前はかなり乱暴な言い方をしていて、「なんだお前!ふざけんじゃないよ!」といったことは日常的でした。女性を「ちゃん」付けで呼ぶこともありました。最近は、「それはパワハラですよ。」とか「そんな言い方、セクハラになりますよ。」と気兼ねなく言い合えるようになって、お互いに気を遣うようになったと思います。全社的に、泣き寝入りをせずにものが言える雰囲気になりました。

パワハラは線引きが難しい

今のところ、相談窓口への相談実績はありません。本当にハラスメントがないのかどうか、今の相談窓口のあり方を見直す必要はないのだろうかと考えています。
パワハラかどうかの線引きは難しいですが、精神が病むまで我慢してはいけないし、かといって子供の喧嘩のように、何でもかんでも誰がどうしたと相談されても困ります。

事例をお聞きして・・・

小規模な事業所では、権力が集中し、ハラスメントが起きる可能性が高まりますが、X商事では、トップから現場まで、全階層にハラスメント防止の重要性を認識させ、何かあれば相談できる窓口を設置することで、職場内でフランクに言い合える状況を生み出していました。窓口の担当者も「待ち」の姿勢ではなく、自ら現場の状況を把握する努力を惜しまずに活動しています。 「良い人材を確保するためには、ハラスメント対策は大切だ!」とおっしゃった担当者の言葉に、活動への強いモチベーションを感じました。

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